サインペンとは。マジックやマッキーとの違いや油性・水性の違いも

素朴な疑問

サインペンとマジック、マッキーとの違いを紹介したい。

世の中には知っていても特に役立たない知識がある。例えば、「蟻を食べるとなぜ酸っぱい味がするのか」もその一つに挙げられるだろう。今回もその類かもしれない。が、こうした知識は、得てして、生涯に4、5回ほど「あれ?ここがお披露目のタイミングかしら?」という場面に遭遇するものだ。そんなときは、隠し刀よろしく、切れ味鋭い弁説をお見舞いしてやってほしい。

というわけで、まずは「サインペンとは何か?」から見ていこう!

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サインペンとは何か?

サインペン

サインペンとは「ぺんてる株式会社」が発売している商品のことである。この時点で、慧眼鋭い諸兄であればもうお気づきかもしれない。「あ~バンドエイドやホッチキスとかと同じあれね? サインペンは商品名でマッキーやマジックもまた別の商品名なのね」と。

イグザクトリー!その通りである。しかし知識は、その事柄だけでなく、周辺情報も知ると定着率がぐんと上がるという。もう少しお付き合いいただきたい。

ぺんてる株式会社とは1946年創業のメーカーである。2016年の売上比率は85%以上が「文具」というから、文具メーカーということになろう。ちなみに創業時は「大日本文具株式会社」という何とも壮大な社名であった。のちに(1971年に)「ぺんてる株式会社」と社名を変更している。由来は「ペインティング」と「パステル(画材のこと)」をかけ合わせたものという。

それはさておき、ぺんてるがサインペンを発売したのは1963年のこと。水性のフェルトペンだった。この「水性」というのが重要である。

1963年当時は、油性インキのマーカーが主流だった。どんなものにでも書ける、すばやく乾く、水に強いという点が受けて流行したという。しかし、難点もあったようだ。紙に書くと滲んでしまう、あるいは裏写りしてしまうという点だ。これらを克服したのが、滲まず裏写りもしない、世界初の「水性マーカー」、ぺんてるのサインペンである。だから、現在でもサインペンというのは水性である。もちろん、現在ではぺんてる株式会社で油性ペンの販売もしているが、それらはサインペンとは別に「ぺんてるペン」や「ペイントマーカー」といった名称になっている。サインペンとはあくまで水性ペンなのである。

ちなみに、サインペンという言葉は「PENTEL Sign PEN」として商標登録もされている。

整理しよう。サインペン=「水性」「ぺんてるの商品」である。

では、マジックとは何か?

マジック(出典Amazon

サインペンについては分かった。ではマジックやマッキーというのは何か?というのが気になる。まずはマジックとは何か、から見ていきたい。

現在では、よく「マジック取って~」などと使われる。この場合の「マジック」は商品名でなく何となく「太いペン」といったニュアンスであろう。このペン≒マジックというのが定着したのは、寺西化学工業株式会社が開発した油性ペン「マジックインキ」に由来している。

寺西化学工業株式会社は大阪に本社を置く、1916年創業の老舗企業だ。マジックインキの発売にこぎつけるまで、染料の研究から、ペン先・キャップの開発まで試行錯誤の連続だったという。この辺りについては、「マジックインキの誕生物語」が詳しい。

研究開発の末、出来上がった油性ペンは、「どんなものにでもよく書ける、魔法のインキ」という意味を込めて「マジックインキ」と名付けられた。日本で最初のマーキングペンの誕生という。1953年のことだ。1953年、つまりぺんてるが水性ペンを発売するちょうど10年前のことである。先述した「1963年当時は、油性インキのマーカーが主流だった」というのは、何を隠そう、この「マジックインキ」のことなのだ。

日本最初のマーキングペンであるから、水性ペンのみならず、現在使われている蛍光ペンや筆ペンなど、あらゆるペンの元祖といえるだろう。だから、ペンを指す言葉として「マジック取って~」などと使われているのだろう。

ちなみに、マジックインキは寺西化学工業と商社である株式会社内田洋行との共同開発・販売だったため、商標登録は内田洋行となっている。

さて、整理してみよう。マジックインキ=「油性」「製造元は寺西化学工業」である。

さいごに、マッキーとは何か?

マッキー

マッキーというのは、1897年創業、こちらもかなりの老舗企業、「ゼブラ株式会社」の商品である。太いタイプを「ハイマッキー」細い方を「マッキー極細」という。ちなみに派生商品としてコンクリートにも書ける何となく格好良い「マッキープロ 特殊用途DX」や何に使うねんってぐらい太い「マッキー極太」なんて商品もある。

さて、ゼブラが速乾性油性フェルトペンとしてマッキーを発売したのは、1976年のこと。主流であった「マジックインキ」に対抗する形で販売されたという。マジックインキと同じく油性で、最大の特徴としては、一本で太い線と細い線が書けるというものだった。現在、このタイプのペンは珍しくないが、当時は画期的だったという。これが功を奏してか、現在に至るまでロングセラー商品となっている。ちなみに、商品のデザインは当時からほぼ変わっていないのだという。

整理してみよう。マッキー=「油性」「ゼブラの商品」である。

これで全ての整理がついた。サインペンはぺんてるの商品で水性。これは、サインペンは何となく淡いイメージがあり、ぺんてるも何となく優しい感じの社名で、しかも水性だから割と頭に入ってきやすい。

マッキーに関しては、マッキーはマンキーと似ている、マンキー=動物=ゼブラ、つまりマッキーはゼブラの商品と覚える。マジックは「寺西マジック」とでも覚えたら良いだろう。

いつの日か、必ずや役立つに違いない。

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