希望の党がベーシックインカムを公約に。ベーシックインカムは実現するのか?

希望の党の公約の原案が判明

小池百合子代表率いる希望の党の公約が10月4日に判明した。

・憲法を改正し、知る権利を明記。一院制を導入。幼児から高校までの無償化と緊急事態時の 国政選挙延期なども検討。

・憲法9条は自衛隊の存在を含め、現実に即したあり方を議論

・2030年までの「原発ゼロ」実現。安全で再稼働できる原発は有効活用。

・2019年10月の消費税10%への引き上げには反対。企業の内部留保への課税で財源を確保。

・生活に最低限必要なお金を支給する「ベーシック・インカム」導入

・金融緩和と財政出動に過度に依存しない「コイケノミクス」推進

・国会議員の定数と報酬を削減。国会の権限を強化。道州制を実現

市井の人々に一番関係のあるところといったら、ベーシックインカムの導入ではないだろうか。ベーシックインカムの導入については、有識者同士が喧々諤々論議していたものであるが、結局は、「そんなの導入する党がいないよね」といった結論になっていたように思う。

それが、今回、希望の党の公約原案にベーシックインカムの導入という項目があるのだ。夢物語のように思っていたものの尻尾が少し見えてきた状況。いよいよ、ベーシックインカムが実現するのか(もちろん、希望の党が公約を実現するだけの議席を確保しなければならないが)。

そもそもベーシックインカムとは何なのか。そこから見ていきたいと思う。

ベーシックインカムとは何なのか?

ベーシックインカムとは、国民が最低限の生活をおくるのに必要とされている額を定期的に支給するというものだ。

いくら貰えるの?

これはベーシックインカムを実現するにはどの税収を増やしどの支出をカットするのかによるだろう。

ちなみに楽天証券経済研究所客員研究員で経済評論家の山崎元氏によれば、「年金」「生活保護」「雇用保険」「児童手当などの各種控除」を全て廃止し、この財源をベーシックインカムに当てれば、国民全員に4万6000円支給することが可能という。

京都府立大学公共政策学部教授で同学部長である、小沢修司氏は、こうして騒がれるはるか以前より『福祉社会と社会保障改革―ベーシック・インカム構想の新地平』高菅出版 (2002/10)といった本を出版しベーシックインカム研究を牽引してきた。

同氏によれば、月に8万円のベーシックインカムであれば導入可能だという。

また、2ちゃんねる創始者である、西村博之氏はニコニコ動画などでベーシックインカム可能の是非を幾度となく討論してきた。

ひろゆき氏は希望の党の公約原案を受けてTwitterで以下のようにつぶやいている。

ひろゆき氏の試算は以下である。

支給額 月額7万円想定(18歳未満は3割)
必要予算 93.76兆円(日本人人口1億2502万人、0~17歳 1915万人×25.2万円、18歳~ 1億0587万人×84万円)
財源
医療費全員3割負担 16兆円
生活保護費カット 4兆円
相続税1.5倍 3兆円 1兆円増
厚生年金と国民年金の支給額をベーシックインカムと同額にする 20.1兆円
(↑BI月額8万円の場合は15.2兆円に減るため注意)
固定資産税5.6% 25.5兆円
解雇規制を無くすことで法人税10.8兆円(2015年度)から倍に 10.8兆円増
たばこを1320円にすることで 6.45兆円 4.3兆円増
パチンコ税35% 6.3兆円
現在の予算 88兆円
その他の財源候補
・ペットショップ税
・投資益を分離課税(20%固定)から、他の所得と合算しての累進課税に(ただし額の算出が難しく、年によって変動が激しい)
・富裕税(一定以上の資産に対する課税。ただし資産の把握が困難で実現(復活)は難しい)
・消費増税、国債や政府紙幣(とりあえずこれらは使わない方向で検討中)
給付対象
日本国籍所持者

ニコニコ大百科(仮)から引用

これらの試算を見ると、5万円前後から8万円前後というのが現実的なラインになりそうだ。

ベーシックインカムを導入した事例はあるの?

フィンランド

フィンランドは2000人の失業者に対してという制限付きではあるものの、月に約7万円の支給をしている。期間は2017年1月1日から2019年12月末。国家レベルでのベーシックインカムの試験的導入は初めてだという。

オランダ ユトレヒト市

オランダのユトレヒト市では、実験的な導入ではあるものの、約300人に単身者で約12万円、夫婦の場合は約18万円の支給を行っている。

カナダ オンタリオ州

カナダのオンタリオ州では2017年の4月に貧困層向けのベーシックインカムを試験導入すると発表している。対象は4000人。期間は3年間。支給額は単身者で年間、約140万円、夫婦で約195万円。

他にも、インドのマドヤ・パラディシュ州、イタリアのリボルノ市、ウガンダのフォート・ポータル地域といったところでも実験的、あるいは限定的にベーシックインカムを導入している。

つまり、ベーシックインカムとは何も荒唐無稽な話ではなく、現実の世界で実際に施策されている制度なのだ。

ベーシックインカムにデメリットはないの?

労働力が低下するのでは?

働かなくともお金が貰えるのだから、働くのが嫌な人は働かなくなるのではないだろうか、という指摘が当然挙がる。

これに関しては色々な意見があるだろうし、現実のところどうなるのかやってみないと分からない。だから、各国で実験が行われてアンケートも実施されている。

これに対する反論で多いのが、「もともとニートの人は何をしてもニート。今働いている人は、生活のために働かなくて済むのだから好きなことができる。好きなことを仕事にできる時代が来る」というものだ。

そもそもなぜ働かなければならないのか? やりがいのため、自己実現のためという人もいるだろうが、生活のためという人も少なくないだろう。働かなければ、お金がなくなり、そのうち食べられなくなる。食べられなくなれば、セーフティーネットである生活保護を受けるしかなくなる。しかし、普通の人にとって、生活保護を受給するというのは自尊心が邪魔するだけにハードルが高い。生活保護なんて受けたくない、だから仕方なく働くとなるわけだ。このいわば、漠然とした将来への不安がなくなる可能性があるのがベーシックインカム。

話がそれてしまったが、労働意欲に関しては個人的にはそこまで減退しないように思える。1年ほど、何もしないニートをやってみたことがあるが、それだけ長い期間何もしていないと、ちょっとアルバイトでもとか、ちょっと漫画でも書いてみるかとか、何かしらやりたくなってくるものだ。

年金や厚生年金を払っていた人や受給者は損をする?

スイスではベーシックインカムを導入するか否かの国民投票が行われた。賛成が23、1%、反対が76・9%で否決されている。反対者の中には、年金受給額の方が多く、ベーシックインカムになると手取りが減るからという人も少なくなかったようだ。

年金や厚生年金をそのままベーシックインカムの財源にすげ替えれば、現在の年金受給者や昔年金をコツコツと払っていた人は、損をすることになる。

しかし、国民年金の部分のみベーシックインカムに移行して、厚生年金部分は残しておく、あるいは、ベーシックインカムと年金を選択できるようにするといった案もある。

これに関しては議論が進まないと分からない。

まとめ

ベーシックインカムの実現可能性やメリット、デメリットについて紹介してきた。議論の余地はあるだろうが、一つ言えるのは公務員の数は減るということだ。年金業務を担当している役所や役所の外郭団体等の人員は削減できるだろう。

また、今まで政治に興味はなかったけれど、ベーシックインカムがにわかに現実味を帯びてきたことで、関心を持つようになったという人も少なくないのではないだろうか。ベーシックインカムの是非は人によってそれぞれかもしれないが、政治について考え始めたというだけでも大きな一歩のように思える。

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