なぜアルバイトが嫌かって? それは嫌な人がいるからさ
今まで多くのアルバイトをしてきた。焼肉屋、チェーンの飲食店、コンサート会場の設営、コンサートの案内係、飲食店の客引き、クーポン雑誌の配布、事務所移転、リゾートバイトなどなど。
その中でもおすすめのアルバイトを紹介したい。どういったポイントでおすすめなのか? それはシンプル。コミュニケーション能力とやらがなくても、嫌な思いをせずに働けるアルバイトだ。
自分から発言したり輪に溶け込めない人は往々にしてアルバイト環境で肩身の狭い思いをする。何を隠そう私もそうであった。いや、今でも大概そうである。原因は変に人によく見られたいとか、今いるこの環境は私の居るべき環境ではないといった出典不明瞭なプライドだろう。それを矯正するに越したことはないが、いかんせん、生まれて数十年で培われた地金だけに一朝一夕には直らない。しからば、そんな私でも働けるようなゆるいアルバイトを探すより仕方がない。
そんな私のような、現代社会から爪弾きにされそうな方でも、伸び伸びと働けるアルバイトを紹介したい。いくつものアルバイトを転々としてきたが、いずれも見極めるポイントはこんな私でも嫌な気持ちをせずに、つまり自尊心を傷つけられずに働けるか否かという点だった。いささか自嘲が過ぎたか、ともかく、そんな私でも働けたアルバイはこれだ!
看板持ち
看板持ちというと胸と背中に看板を掲げたいわゆるサンドイッチマンをイメージするかもしれない。が、私のやっていたのは違う看板持ち。
新築マンションや新築の建屋が完成したときのモデルルームや展示会などの案内をするための看板持ちだ。看板というより木の支柱のついたプラカード持ちといっても良いだろう。
これはそれ専門のアルバイト会社に行ったのではなく、派遣アルバイトに登録してこの仕事を紹介してもらった。この仕事をしたいのなら、そのアルバイト派遣会社にこの手の仕事があるのか確認したほうが良いだろう。
このアルバイトの良いところは、人とほとんど話さないという点だ。看板を持っている最中は雲を見ているか、車の台数を数えているか、車のナンバーの足し算をしていた。人と話すとしたら、モデルルームや展示会に来た人への案内のみ。それも決められたテンプレートに沿って、「あの角を右です」などと言えば良いだけ。
極力、アルバイトでのコミュニケーションを避けていた私にとってはこれ以上ないアルバイトだった。しかし、物事には悪い面もある。
暇すぎ
暇すぎるのだ。先述したように雲を見てしまうほど何もすることがない。私はこのアルバイトを10回以上こなしたが、モデルルームや展示会に来た方を案内したのは数回ほどしかない。なにもやることがないのだ。
暇だったらスマホでもいじっていればいいじゃんと思う向きもあるかもしれないが、派遣の現場にはその現場を仕切るリーダー的なアルバイターか派遣先の社員がいることがある。そうした方々が、定期的に巡回にくるのだ。その頻度はあまり多くはないが、いつ来るかも知れぬリーダーにおびえてスマホなど見ていられない。見ている現場を押さえられれば、その時間以外はきちんとやっていたとしても、それだけで不真面目の烙印を押されてしまうのだ。ま、それは少々大げさかもしれないが、巡回という楔があるだけで、ずっと真面目に持っていなければならなかった。
まとめ
しかし、総合的に見れば看板持ちのアルバイトはとても楽だった。時給も900円前後貰えた。同じような派遣のアルバイトにはコンサートの設営などもある。コンサートの設営などは、クライアントである設営会社のイケイケな社員に「おい! おっせーよ! たくよー!」などとこき使われることがままある。完全にコマ扱いで一人の人間としては見てくれないというのが私の感想だ。だからどうというわけではないが。
そうした面倒なアルバイトに比べたら、看板持ちのアルバイトは天国。現場によっては、椅子がなく、ずっと立ちっぱというケースもあるが、それでも、立っていればお金が入ってくるのだから、間尺に合うというものだ。
かといって、なにかスキルが身につくかといえば皆無なので、積極的にこれは絶対にやったほうが良いとは言えないが、アルバイト先の人間関係で悩んだときなどは、看板持ちのアルバイトという選択肢があることをぜひ思い出してほしい。
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