高級食パンブームも、マリトッツォの熱狂も、いつかは過ぎ去る。
しかし、日本全国津々浦々には、流行とは無縁の場所で、何十年もの間、**その土地の人々の胃袋と魂を、静かに、しかし確実に支え続けてきた「ご当地パン」**が存在する。
- 滋賀県民が、その存在を他県民に知られることを恐れる、禁断の「サラダパン」。
- 青森県民の青春の味、マーガリンと砂糖の甘じょっぱい誘惑「イギリストースト」。
- 高知県民なら誰もが知る、あの愛らしい「ぼうしパン」。
これらは、単なるパンではない。
その土地の歴史、文化、そして人々の思い出が、生地の中にたっぷりと練り込まれた、**食べられる「文化遺産」**なのである。
この記事は、そんな**47都道府県に眠る、地元民しか知らないかもしれない、愛すべき「ご当地パン」**の世界へと、あなたを誘う究極のグルメ旅ガイドだ。
【この記事を読めば、あなたの次の旅の目的が決まる】
- 【完全網羅】 北は北海道から、南は沖縄まで。100種類以上のご当地パンを、エリア別に徹底紹介。
- 【歴史と物語】 なぜそのパンは生まれたのか?名前の由来は?地元で愛される理由を深掘り。
- 【実食ガイド】 どこで買える?通販は?その土地に行かなければ味わえない、リアルな情報を提供。
この記事は、あなたの腹を空かせ、そして旅に出たくてたまらなくさせる、「飯テロ」記事であることを、あらかじめ警告しておく。
さあ、日本列島を縦断する、香ばしくて、甘くて、そしてどこか懐かしい、ソウルフード探しの旅に出発しよう。
【北海道・東北エリア】 – 雄大な大地と、厳しい冬が育んだ、力強くも優しいパンたち
【北海道】
1. ちくわパン
- 製造元: DONGURI(どんぐり)
- 特徴: パンの中に、ちくわが丸ごと一本。そして、ちくわの穴の中にはツナサラダがぎっしり。パンとちくわ、そしてツナマヨという、奇跡のマリアージュ。札幌市民のソウルフードであり、今や全国区の人気を誇る、ご当地パン界の革命児。
- 物語: 1980年代、あるお客さんの「お弁当のおかずになるようなパンが欲しい」という一言から、どんぐりの創業者が考案したと言われる。
2. ようかんパン
- 製造元: 日糧製パンなど
- 特徴: コッペパンやツイストパンの上に、羊羹(ようかん)がコーティングされている、北海道ならではのハイブリッド菓子パン。中にはホイップクリームやカスタードが入っていることも。
- 物語: 昭和40年代頃、和菓子と洋菓子の両方の要素を併せ持つパンとして誕生。甘党が多い道民の心を鷲掴みにした。
3. ラブラブサンド
- 製造元: 日糧製パン
- 特徴: 北海道版「ランチパック」。しっとりとした食パンで、ピーナッツクリームやチョコレートなど、様々な具材をサンド。道民にとっては、山崎製パンのランチパックよりも馴染み深い存在。
【青森県】
4. イギリストースト
- 製造元: 工藤パン
- 特徴: 青森県民の魂に刻み込まれた、ソウルフード中のソウルフード。山型の食パン2枚に、マーガリンとグラニュー糖がサンドされた、シンプルながらも中毒性の高い一品。ジャリジャリとした砂糖の食感がたまらない。
- 物語: 1967年発売の超ロングセラー。「イギリス」という名前の由来は、開発者がイギリスパン(山型食パン)をヒントにしたから、という説が有力だが、詳細は謎に包まれている。
5. チョコレイ
- 製造元: 工藤パン
- 特徴: ふわふわのスポンジ生地で、バタークリームをサンドし、全体をチョコレートでコーティングした洋菓子風のパン。イギリストーストと並ぶ、工藤パンの二枚看板。
【岩手県】
6. 福田パン
- 製造元: 福田パン
- 特徴: 盛岡市民のソウルフード。ふわふわで巨大なコッペパンに、客が注文してから、目の前で好きな具材をサンドしてくれる対面販売スタイルが特徴。あんバター、ジャムバターといった甘い系から、コンビーフやナポリタンといった惣菜系まで、組み合わせは無限大。
- 物語: 戦後間もない1948年創業。岩手大学の学生たちのために、安くて栄養のあるものを、という思いから始まった。
7. 力あんぱん
- 製造元: シライシパン
- 特徴: あんぱんの中に、あんこと一緒に、なんと「お餅(求肥)」が入っている。パンのもちもち感と、お餅のさらなるもちもち感が楽しめる、炭水化物の祭典。
【秋田県】
8. 学生調理
- 製造元: たけや製パン
- 特徴: 秋田の高校の購買で絶大な人気を誇る、伝説の惣菜パン。コッペパンの中に、魚肉ソーセージのフライ、ナポリタン、キャベツのコールスローが、これでもかと詰め込まれている。青春の全てが、この一本に詰まっている。
- 物語: 「学生がお腹いっぱいになるように」という、創業者の愛情から生まれた。
9. バター餅
- 製造元: たけや製パンなど
- 特徴: 餅米を使ったパン生地に、バター風味のあんを折り込んだ、甘くてしょっぱいデニッシュ風のパン。秋田名物の「バター餅」をパンで再現した一品。
【山形県】
10. ベタチョコ
- 製造元: たいようパン
- 特徴: 開いたコッペパンの片面に、バタークリームを塗り、もう片面をチョコレートで「ベタッ」とコーティングした、見た目も名前もインパクト大なパン。
- 物語: 昭和39年発売。子供たちが、パンをチョコにディップして食べる姿からヒントを得たという。
【宮城県】
11. クリームサンド
- 製造元: フレッシュ製パン
- 特徴: ピーナッツクリームをサンドした、ごくシンプルなコッペパン。しかし、その素朴な味わいが、気仙沼市民のソウルフードとして、長年愛され続けている。
12. コーヒーサンド
- 製造元: 気仙沼パン工房
- 特徴: こちらも気仙沼のソウルフード。食パンに、コーヒークリームをサンドしたシンプルな一品。ほんのりビターな大人の味わい。
【福島県】
13. クリームボックス
- 製造元: 郡山市内の多数のパン屋
- 特徴: 郡山市発祥のご当地パン。厚切りの小型食パンに、ミルク風味の白いクリームが、たっぷりと塗られている。シンプルながら、濃厚で優しい甘さがクセになる。
- 物語: 1976年、市内のパン屋「ロミオ」が発祥とされる。今では、市内のほとんどのパン屋が、独自のクリームボックスを販売する、郡山のソウルフード。
14. 凍天(しみてん)
- 製造元: 木乃幡(現在は別会社が継承)
- 特徴: 福島県南相馬市が発祥。よもぎ餅を、ドーナツ生地で包んで揚げた、揚げドーナツのようなお菓子。外はカリッと、中はモチモチの食感が特徴。
【関東エリア】 – 都会の喧騒と、豊かな自然が生んだ、個性派たちの饗宴
【茨城県】
15. ぼうしパン
- 製造元: モンテヤマザキなど
- 特徴: 高知の「ぼうしパン」とは別物。こちらは、円盤状のパン生地の中央に、カステラ生地を乗せて焼いた、UFOのような形のパン。
- 物語: 茨城県民にとっては、給食などでもお馴染みの、懐かしの味。
16. みそパン
- 製造元: 岡埜(おかの)など
- 特徴: 沼田市周辺で愛されるソウルフード。ふわふわのコッペパンに、甘じょっぱい特製の味噌ダレがたっぷりと塗られている。素朴で、どこか懐かしい味わい。
【栃木県】
17. レモン牛乳パン
- 製造元: 関東・栃木レモンなど
- 特徴: 栃木県民のソウルドリンク「レモン牛乳」を、クリームやパン生地に練り込んだ菓子パン。甘酸っぱく、爽やかな風味が特徴。
【群馬県】
18. 味噌パン
- 製造元: フリアンパン
- 特徴: 沼田市のソウルフード。こちらは、ソフトフランスパンに、特製の甘い味噌ダレをサンドしたスタイル。パンの塩気と、味噌の甘じょっぱさが絶妙にマッチする。
【埼玉県】
19. 味噌ポテトパン
- 製造元: 秩父市内のパン屋など
- 特徴: 秩父地方のB級グルメ「味噌ポテト」(じゃがいもの天ぷらに甘い味噌だれをかけたもの)を、パンに挟んだり、乗せたりした惣菜パン。炭水化物と炭水化物の、夢のコラボレーション。
【千葉県】
20. MAXコーヒーパン
- 製造元: 各種メーカー
- 特徴: 千葉・茨城で絶大な人気を誇る、練乳をたっぷり使った甘い缶コーヒー「MAXコーヒー」の味を再現した菓子パン。クリームや生地に、コーヒーの風味が練り込まれている。
21. ピーナッツコッペ
- 製造元: ピーターパンなど
- 特徴: 落花生の生産量が日本一の千葉県ならでは。粒々の食感が残る、濃厚なピーナッツクリームがたっぷりと挟まったコッペパンは、県内の多くのパン屋で定番商品となっている。
【東京都】
22. ようかんシベリア
- 製造元: 各地のパン屋・和菓子屋
- 特徴: カステラやスポンジ生地で、羊羹をサンドした、和洋折衷の菓子。映画『風立ちぬ』に登場したことで、再び注目を浴びた。
- 物語: 明治後期から大正時代に生まれたとされるが、その発祥は謎に包まれている。
23. 魚肉ソーセージパン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 魚肉ソーセージを、パン生地で巻いたり、乗せたりして焼き上げた、昔ながらの惣菜パン。昭和の子供たちのおやつであり、軽食であった。
24. カレーパン(発祥の地)
- 製造元: カトレア(江東区森下)
- 特徴: 今や全国区のカレーパンだが、その発祥は、江東区森下にある「カトレア」であると言われている(実用新案登録)。洋食店のカレーを、パンに詰めて揚げた、画期的な発明品だった。
【神奈川県】
25. ポテチパン
- 製造元: 横須賀市内のパン屋(中井パン、ワカフジベーカリーなど)
- 特徴: 横須賀市民のソウルフード。コッペパンに、キャベツの千切りと、砕いたポテトチップス(のり塩味が定番)を挟んだ、衝撃的な惣菜パン。ポテチの塩気とザクザク食感が、意外なほどキャベツとマッチする。
26. よこすか海軍カレーパン
- 製造元: 横須賀市内のパン屋
- 特徴: 明治時代の海軍のレシピを元にした「よこすか海軍カレー」を、中に詰めたカレーパン。通常のカレーパンよりも、野菜がゴロゴロと入った、少し懐かしい味わいが特徴。
27. 牛乳パン
- 製造元: オギノパンなど
- 特徴: 長野県が本場だが、神奈川県の学校給食でもお馴染み。ふわふわのコッペパンに、ミルククリームがサンドされている。
【中部エリア】 – 豊かな食文化と、喫茶店文化が生んだ、独創的なパンたち
【新潟県】
28. サンドパン
- 製造元: パンのカブトなど
- 特徴: 上越地方のソウルフード。コッペパンに、バタークリームと、砕いた赤色の甘いゼリーがサンドされている。レトロで、どこか懐かしい味わい。
【富山県】
29. 昆布パン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 昆布の消費量日本一を誇る富山県ならでは。パン生地に、刻んだ昆布や、とろろ昆布を練り込んだパン。磯の香りと、パンの甘みが意外なハーモニーを奏でる。
【石川県】
30. ホワイトサンド
- 製造元: パンのあづまや
- 特徴: 金沢市民のソウルフード。食パンに、マヨネーズで和えたキャベツの千切りと、ハム、そしてなぜか甘い練乳を隠し味に使った、独特のサンドイッチ。
【福井県】
31. 大福あんぱん
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: あんぱんの中に、大福餅が丸ごと一個入っている。パン、餅、あんこという、炭水化物の三重奏。
【山梨県】
32. ぶどうパン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 日本一のぶどうの産地ならでは。生地に、レーズンだけでなく、生のぶどうや、ぶどうジュースを練り込んだ、香り高いパン。
【長野県】
33. 牛乳パン
- 製造元: 小松パン店、かねまるパン店など
- 特徴: ご当地パンの王様の一つ。長方形の、巨大でふわふわなパンの間に、たっぷりのミルククリームがサンドされている。パッケージのレトロなデザインも魅力。店によってクリームの味が全く違うため、地元民はそれぞれに「推し」の牛乳パンがある。
34. サラダパン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 滋賀の「サラダパン」とは全くの別物。長野のサラダパンは、コッペパンにポテトサラダや野菜サラダを挟んだ、王道の惣菜パンである。
【岐阜県】
35. 珈琲あんぱん
- 製造元: サカグチ屋
- 特徴: 飛騨高山の名物。あんぱんの中に、あんこと一緒に、ホイップクリームが注入されている。そして、パンの表面には、コーヒーが染み込ませてある。あんの甘さと、コーヒーのほろ苦さが絶妙。
【静岡県】
36. のっぽパン
- 製造元: バンデロール
- 特徴: 沼津市を中心とする静岡県東部のソウルフード。長さ34cmもの、キリンの絵が描かれた細長いパンの中に、ミルククリームがサンドされている。
- 物語: アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』に登場したことで、全国的な知名度を得た。
37. ようかんぱん
- 製造元: 富士製パン
- 特徴: 富士市周辺のご当地パン。あんぱんの上に、羊羹をコーティングし、中央にホイップクリームを絞った、甘党にはたまらない一品。
【愛知県】
38. 小倉トースト風パン
- 製造元: 敷島製パン(Pasco)など
- 特徴: 名古屋の喫茶店文化の象徴「小倉トースト」を、菓子パンとして再現したもの。食パンに、小倉あんとマーガリンがサンドされている。
【近畿エリア】 – 食い倒れの都と、古都の伝統が融合するパン文化
天下の台所・大阪を擁する近畿エリア。その食文化の多様性は、パンの世界にも色濃く反映されている。
【三重県】
39. ぽんぽこラーメン
- 製造元: 株式会社 旭製パン
- 特徴: ラーメン好きにはたまらない、禁断の惣菜パン。コッペパンの中に、なんとインスタントラーメン(チキンラーメンのような味付け麺)を、マヨネーズで和えてサンド。麺のパリパリとした食感がアクセントになっている。
【滋賀県】
40. サラダパン
- 製造元: つるやパン
- 特徴: ご当地パン界、最大の問題作にして、最高の傑作。コッペパンに挟まれているのは、ポテトサラダではない。なんと、刻んだ「たくあん」をマヨネーズで和えたもの。シャキシャキとした食感と、マヨネーズの酸味、たくあんの塩気が、意外なほどにパンと調和する。
- 物語: 創業者が、お客さんから「マヨネーズとたくあんを挟んでみては」という冗談のような提案を受け、試作したのが始まり。一度食べると忘れられない、中毒性の高い味で、全国に熱狂的なファンを持つ。
41. サンドウィッチ
- 製造元: つるやパン
- 特徴: サラダパンと並ぶ、つるやパンのもう一つの名物。しかし、これも普通ではない。魚肉ソーセージのような、薄い円形のハムと、マヨネーズだけ、という究極のシンプルさ。その素朴さが、地元民に長年愛され続けている。
【京都府】
42. カルネ
- 製造元: 志津屋(SIZUYA)
- 特徴: 京都市民のソウルフード。カイザーロールのような、少し硬めの丸いフランスパンに、ハムとスライスオニオンだけを挟んだ、極めてシンプルなサンドイッチ。マーガリンの塩気が絶妙なアクセント。
- 物語: 創業者が、ドイツのパン屋で見たシンプルなサンドイッチから着想を得た。オーブントースターで軽く焼いて食べるのが、地元民の「通」な食べ方。
43. ニューバード
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 京都の一部地域で愛される謎の惣菜パン。その正体は、カレー風味の生地で、魚肉ソーセージを包んで揚げたもの。「鳥(バード)」という名前なのに、鶏肉は一切使われていない。
【大阪府】
44. サンミー
- 製造元: 神戸屋
- 特徴: 関西圏のスーパーやコンビニではお馴染みの超ロングセラー。デニッシュ生地の上に、ビスケット生地とチョコ、そしてオレンジ風味のフォンダン(砂糖衣)がかかった、**「3つの味(三味)」**が楽しめることから「サンミー」と名付けられた。
【兵庫県】
45. ニシカワパン
- 製造元: ニシカワ食品
- 特徴: 兵庫県加古川市が誇る、地元密着の製パン会社。「にしかわフラワー」「ピーナッツバター」など、数々のヒット商品を持つが、中でも有名なのが、食パンにピーナッツクリームを塗っただけのシンプルな「にしかわフラワー」。
【奈良県】
46. パピロ
- 製造元: マルツベーカリー
- 特徴: 桜井市で愛される、レトロな菓子パン。コッペパンに、バタークリームをサンドし、表面に砂糖をまぶした、懐かしい味わい。
【和歌山県】
47. コーヒーランド
- 製造元: 株式会社 玉林園
- 特徴: 和歌山市民のソウルドリンク「グリーンソフト」で有名な玉林園が作る、コーヒー風味のサンドイッチ。食パンに、コーヒークリームが挟まれている。
【中国・四国エリア】 – 豊かな自然と、独自の食文化が育んだ個性派たち
【鳥取県】
48. 白バラコーヒーパン
- 製造元: 大山乳業農業協同組合
- 特徴: 鳥取県民のソウルドリンク「白バラコーヒー」を使用した菓子パン。パン生地やクリームに、濃厚なコーヒー牛乳の風味が活かされている。
49. げんこつらーめんパン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 鳥取のご当地ラーメン「素ラーメン」をイメージした惣菜パン。ラーメンの麺や具材がパンの中に入っている。
【島根県】
50. バラパン
- 製造元: なんぽうパン
- 特徴: 出雲地方のソウルフード。細長いコッペパンに、バタークリームを塗り、それをくるくると巻き上げて、一輪の「薔薇」の花のように見立てた、美しい菓子パン。
【岡山県】
51. バナナクリームロール
- 製造元: 岡山木村屋
- 特徴: 岡山の学生たちの青春の味。ロールパンに、バナナ風味のバタークリームがたっぷりと挟まっている。
【広島県】
52. 平和パン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 広島ならではの、平和への祈りが込められたパン。鳩の形をしていたり、平和のメッセージが刻印されていたりする。
【山口県】
53. 夏みかんパン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 夏みかんの産地である萩市周辺で作られる。ピール(皮)や果汁を生地やクリームに練り込んだ、爽やかな香りが特徴。
【徳島県】
54. 金時豆パン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 徳島県民が愛する、甘く煮た金時豆を、パン生地に練り込んだり、挟んだりしたパン。
【香川県】
55. うどんパン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: さすが「うどん県」。焼きそばパンならぬ、焼きうどんを挟んだ惣菜パンが存在する。
【愛媛県】
56. 塩パン
- 製造元: パン・メゾン
- 特徴: 今や全国区となった「塩パン」だが、その発祥の地とされるのが、愛媛県八幡浜市の「パン・メゾン」。バターを巻き込んだパン生地の上に、岩塩を振りかけて焼き上げた、外はカリッ、中はジュワッとした食感がたまらない。
【高知県】
57. ぼうしパン
- 製造元: 永野旭堂本店など
- 特徴: 高知県民なら誰もが知る、愛らしい形のパン。丸いパン生地の上に、カステラ生地をかけて焼くことで、まるで麦わら帽子のような形になる。帽子の「ツバ」の部分の、サクサクとした甘い食感が人気の秘密。
【九州・沖縄エリア】 – 南国の太陽と、独自の歴史が育んだエキゾチックなパンたち
【福岡県】
58. マンハッタン
- 製造元: リョーユーパン
- 特徴: 九州北部、特に福岡県民のソウルフード。少し硬めのドーナツ生地に、チョコレートをコーティングした、ザクザクとした食感が特徴。
- 物語: 開発担当者が、ニューヨークのマンハッタンで食べたドーナツに感動し、そのイメージで開発したことから名付けられた。
59. サニーパン
- 製造元: シロヤベーカリー
- 特徴: 北九州市・小倉のソウルフード。小ぶりのフランスパンの中に、たっぷりの練乳が注入されている。パンをかじると、中から甘い練乳がジュワっと溢れ出す。
【佐賀県】
60. ブラックモンブランパン
- 製造元: 各種メーカー
- 特徴: 九州を代表するアイス「ブラックモンブラン」をイメージした菓子パン。チョコでコーティングされ、クッキークランチがまぶされている。
【長崎県】
61. カステラパン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 長崎名物のカステラを、パン生地でサンドしたり、クリームに練り込んだりしたパン。
【熊本県】
62. ネギパン
- 製造元: 高岡製パン
- 特徴: 熊本のご当地パン。パン生地の中に、刻みネギ、かつお節、マヨネーズが和えられた具材が入っている。お好み焼きのような、和風の味わい。
【大分県】
63. 三角チーズパン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 大分県民のソウルフード。三角形のパン生地の中に、甘いカスタードクリームと、塩気のあるチーズクリームが一緒に入っている。
【宮崎県】
64. ジャリパン
- 製造元: 各地のパン屋
- 特徴: 宮崎県のご当地パン。コッペパンに、バタークリームと、グラニュー糖がサンドされており、その名の通り「ジャリジャリ」とした食感が楽しめる。
【鹿児島県】
65. イケダパン
- 製造元: イケダパン
- 特徴: 鹿児島を代表する製パン会社。「キングチョコ」や「シンコム3号」など、地元民に愛される数々のロングセラー商品を持つ。
【沖縄県】
66. なかよしパン
- 製造元: ぐしけんパン
- 特徴: 沖縄県民のソウルフード。カエルの絵が描かれた長いパッケージが目印。長いココア生地のパンの間に、バニラ風味のクリームがサンドされている。その長さから、家族や友人と「仲良く」分け合って食べるのが定番。
67. ゼブラパン
- 製造元: オキコパン
- 特徴: なかよしパンと人気を二分する、沖縄の巨大菓子パン。黒糖風味のパン生地と、通常のパン生地が、シマウマ(ゼブラ)のような縞模様になっている。中には、粒入りピーナッツクリームとバタークリームがサンドされている。
さいごに:あなたの故郷の「ソウルパン」は何ですか?
北の「ちくわパン」から、南の「なかよしパン」まで。
日本全国を巡る、ご当地パンの旅、いかがだっただろうか。
その多くは、決して洗練された都会のブーランジェリーのパンではないかもしれない。
しかし、その一つ一つのパンの中には、
「学生たちに、安くお腹いっぱいになってほしい」
「地元の名産品を、もっと気軽に味わってほしい」
「この土地の子供たちに、忘れられない故郷の味を」
といった、作り手たちの、ささやかで、しかし温かい愛情が、たっぷりと込められている。
ご当地パンとは、その土地の風土と、人々の暮らしが、小麦粉というキャンバスの上に焼き付けられた、**食べられる「民藝品」**なのだ。
あなたの故郷には、どんなソウルパンがあるだろうか?
この記事を読んで、久しぶりに、あの懐かしい味を思い出していただけたなら、これに勝る喜びはない。
そして、次の旅の計画を立てる時、ぜひ、その土地のご当地パンを探す、という小さな冒険を、プランに加えてみてほしい。
きっと、ガイドブックには載っていない、最高に美味しくて、愛おしい出会いが、あなたを待っているはずだから。
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